保険代理店システムリプレイスにあたっての基礎知識から進め方までを、筆者の経験に基づき、数回に分けて解説していくシリーズのVol.2です。
↓Vol.1はこちら
企業代理店が独自システムを使う理由 代理店システムリプレイスへの道 | 企業代理店port (kigyodairiten-port.com)
1.きっかけ
現行の代理店システムをリプレイスするきっかけは様々かと思います。最もよくあるパターンは、システムの保守期限が到来することではないでしょうか。
オンプレミスシステムの場合、パッケージソフトを購入後、それをカスタマイズし、利用を開始するというケースが多いです。
利用期間中はベンダーと保守契約を締結し、保守料を支払ってシステムのメンテナンスや、簡単な改修を行っていただきます。
システムが古くなってくると、ベンダーは古いシステムの保守を終了し、新しいバージョンのシステムへの乗り換えを推奨していきます。
そのような場合、古いシステムから新しいシステムへ移行しなければなりません。保守期限が切れた古いシステムを使い続けるとセキュリティ上問題があるためです。
2.リプレイスにおける課題
代理店システムのリプレイスには結構な期間を要するもので、企業代理店の場合、少なくとも比較検討に1年、ベンダー選定から運用開始まで1年くらいかかります。
よって、遅くともEOS(End of service)の3年前くらいから移行の検討を開始する必要があります。
この代理店システムリプレイスはiPhoneの機種変のように簡単なものではなく、かなりの難題であります。
通常よくある課題として以下が挙げられます。
- システム変更時、現場に負担がかからないか
- 運用が変わって営業現場に混乱が生じないか
- 経営陣や親会社の承認をどのように取り付けるか
- システムを理解している人が極少数しかいない
- 現行システムは使いづらいが、どうすれば使いやすくなるのか分からない
- 要件定義が難しく、時間も要するので面倒くさい
- 費用がこれまで以上にかからないか
- システム導入が失敗して顧客に迷惑や心配をかけないか、等
これを読んだだけで背筋がゾッとする方もいるのではないでしょうか。あるいは、できれば避けたい、先送りしたい、と思う方も少なからずいるはずです。
このようにシステム対応は難易度が高いにもかかわらず、一部のシステム担当に任せっきりにして、抜本的な改善を行ってこなかったというのが、筆者が所属する会社での歴史であり、日本全体の歴史でもあると認識しております。
その課題を見て見ぬふりをして、長年過ごして来てしまったがために、我が国のIT化、デジタル化、DX化は、他国の後塵を拝することになってしまったのではないでしょうか(注)。
個社および保険業界全体をアップデートすべき時期が到来しています。もうこれ以上は先送りできないと腹をくくり、抜本的にシステムレプレイス を行った事例について、次回以降紹介していきます。
(注)日本が既にデジタル後進国になっており、DX化を推進することが必須であることは「シンニホン」(安宅和人著)に詳しく書かれています。
↓次回Vol.3はこちら
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