保険代理店の現在地 共創、そして企業代理店2.0へ

企業代理店

1.はじめに

本メディアでは企業代理店にフォーカスし、環境変化の激しい時代を乗り越えるためにも企業代理店2.0というコンセプトを掲げています。


【参考記事】
企業代理店とは?
保険の企業代理店とは? – 企業代理店port |企業代理店2.0を目指して | 企業代理店port (kigyodairiten-port.com)

企業代理店2.0とは
企業代理店2.0とは? 進化し続ける企業代理店 | 企業代理店port (kigyodairiten-port.com)

本記事では企業代理店2.0への進化を考えるに至った背景や課題感などを詳細に記載していきたいと思います。

2.急速な技術革新による事業環境の変化

保険を取り巻く環境のなかで、テレマティクス、エンベデッド、IoT 利用、災害予測モデル、ウェアラブルデバイス、テレヘルスなどなど、様々な技術の進歩がありました。

さらには生成AIに代表されるAI技術が劇的に進化しています。保険業界において生成AIは相性もよいと言われており、大きく時代が動く予兆があります。

AIや自動化技術により、保険代理店が担っていた顧客ニーズの把握からクレーム管理まで一変していくことになりそうです。

また非伝統的なプレーヤーも保険業界に参入してきています。テレマティクスではテスラ保険、アマゾンも日本においてペット保険に代理店として参入しています。

こういったグローバル企業やプラットフォーマーが引き続き本格参入してくると、今まで顧客接点を持っていた保険代理店としては脅威になります。

3.従来型保険代理店ビジネスモデルの限界 

保険代理店業界の中でも、特に企業代理店にとって、これまでの成長は保険会社の支えあってのものでした。一方で、これまで企業代理店を支えていた保険会社は従来主力だった国内保険では収益を伸ばせず、海外事業や本業の保険以外に収益源を広げつつあります。

また、保険料率の自由化時代に突入した2000年度以降、非効率な保険代理店の整理縮小と損害保険会社の代理店政策の変化に伴う保険代理店の大型化・効率化の動きの中で、国内の損保代理店の数はピークである1998年から四分の一まで減少しています。企業代理店もそれに漏れず、淘汰や統合が進みました。

昨今のニュース記事にて書かれているとおり、企業代理店は保険会社への依存から人材や専門性が不足しているということも、全ての企業代理店ではないにしろ当てはまることかもしれません。

この独自人材の不足がコンプライアンスの問題、ひいてはデジタル化の遅れの一因となっているとも言えます。

そのような状況では先に触れた昨今の技術革新の影響も相まって、企業代理店の持つ情報優位性の低下が加速していくことになりかねません。

一例を挙げると、顧客目線ではネットを活用してさまざまな情報にアクセスが可能になっており、また生成AIの活用も進んでいることから、保険に関する情報の入手が容易になっています。

一方で保険会社目線ではこれまで顧客の行動データを取得できないことは課題だったかと思いますが、テレマティクスやウェアラブルデバイスの活用、オンラインでの直販など直接顧客情報を収集する方向に進むでしょう。

このままでは企業代理店はその存在意義を顧客からも保険会社からも問われることになります。

4.保険代理店の存在意義

ここで改めて保険代理店の存在意義を考えてみたいと思います。

保険代理店はやはり保険の販売チャネルとして顧客と保険会社の結節点になることが求められているものと考えます。

顧客接点を強化し、顧客ドリブンなビジネスの起点として本当に必要な保険やその他のリスクマネジメント手法についての情報を提供し、必要なタイミングで過不足なく手配することが必要です。

そのためには土台となる顧客情報の整理活用が必須となります。

先に述べた通り、保険会社やその他プラットフォーマーによるダイレクトな顧客関連データの収集は進んでいきます。

一方で保険代理店に情報がないかと言えばそうではなく、貴重な情報が蓄積されています。

ただそれを活用しきれていないので、これらをもっとアクティベートしていく必要があります。

ではそれを企業代理店として進めるための課題はなんでしょうか。

5.課題

以下大きく2つに分けて記載していきます。

人材

前述の通り、こと企業代理店においては成長を保険会社に支えてもらっていた過去があり、それはともすると依存にまでつながっていました。そのため自前で人材を採用したり育成したりするノウハウが整理されていない部分が課題と考えています。

生産年齢人口も減少し、人材不足はほぼ全ての企業の課題であるはずです。

今後企業代理店として成長していくには専門性を身につけた人材の確保は必須であり、中長期では大きな課題になっています。

DX化の遅れ

企業代理店内に貴重な情報があるが活用しきれていないという話をしました。まさにここがDX化の遅れにつながっています。

例えば顧客の情報はこのシステム、契約データはあのシステム、成績の管理はExcel……、データが散在してしまっていてうまく整理できていない状況があるかと思います。

つまりデータを整備・活用できていないことが課題です。

原因はいくつか考えられます。

例えば企業代理店は企業規模として大きくはありません。システム投資は資金的な負担が大きく、一歩が踏み出しにくくなります。

またシステムを構築しようにもIT人材やエンジニアがいません。もちろん自社で抱えている場合もありますが、多くはありません。

抱えようにも人材がすぐに見つかるわけでも、かなり高い給料を支払う余力があるわけでもありません。

またそんな状況ですから、ITベンダー側にもこう言った規模の企業向けにリソースを割こうという誘因は働きません。

以上2つ課題を上げましたが、いずれも企業代理店が個社で対応するには限界があります。

そのため他社との共創が必要なのです。

6.共創、そして企業代理店2.0へ

ここまで時間がかかりましたが、ようやく企業代理店2.0について記載していきます。

これまでの背景や課題を踏まえ、外部との共創やオープンイノベーションを推進し、個社ではできないことを他社と協働し、課題解決をするために知恵やリソースを出し合う、オープンな関係を志す保険代理店(特に企業代理店)を企業代理店2.0と定義しています。

例えばスタートアップなどテクノロジー企業との協働や企業代理店同士のつながりから共通のプラットフォーム構築、保険会社との連携強化や還元などを目指していくものです。

複数の代理店が協働することで人材育成・強化、業務効率化、マーケティング高度化、強固なコンプライアンス体制の構築に取り組んでいけると考えています。

そのための取り組みの1つとして「企業代理店2.0研究会」を立ち上げ、上記を推進するための団体として運営していくことを検討しています。

保険業界の悪いニュースが絶えない中、ピンチをチャンスに変え、保険業界を盛り上げていきたいと思っています。

本メディアではそのための情報発信も進めてまいります。


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