【保険代理店システムリプレイスへの道(Vol.1)】
企業代理店が独自システムを使う理由

システム

保険代理店、特に企業代理店では顧客管理や契約管理、意向把握の記録、保険料精算業務のために代理店システムを導入しているかと思います。

代理店システムを利用するにあたっては、業務担当・システム担当の方が中心となりシステムの導入から運用方針の策定、保全、運用に合わせた改修、そしてタイミングによってはリプレイスをしていかなくてはなりません。

今回からシステムリプレイスにあたっての基礎知識から進め方までを、筆者の経験に基づき、数回に分けて解説していきたいと思います。

1.企業代理店はどんなシステムを使っているか

各保険会社は、契約・顧客管理システムを開発し、代理店に提供しており、多くの代理店が利用していますが、当然のことながら、A保険会社のシステムではA保険会社の、B保険会社のシステムではB保険会社の契約・顧客情報しか基本的に閲覧・計上等ができません。

よって、これらのシステムは自社の専属または自社商品を中心に販売している代理店を想定した設計になっているように見えます。

一方、企業代理店のように多数の保険会社の商品を取扱っている場合、保険会社のシステムを利用しようとすると取引している保険会社の数だけシステムにログインしないといけなくなり、事務が煩雑になります。

例えば6社の保険会社と取引をしている場合、6社それぞれのシステムにログインして事務処理を行うことになります。

各社の契約情報を名寄せして一覧で表示することができる無料のシステム(注1)もありますが、顧客対応の履歴や、意向把握の記録を残す機能が装備されていないため、多数の保険会社の商品を取扱っていて、かつ比較的規模の大きい乗合代理店においては、異なる保険会社の契約・顧客を一元管理できるシステムを構築しているケースがあります。

(注1)インシュアランス・システム・ソリューション株式会社が提供しているISS代理店システム(https://www2.issolution.co.jp/top/doc/iss_pamphlet.pdf)などがある。


2.オンプレミスとSaaS

これまで代理店システムはオンプレミス(注2)でシステムを構築することが多数派でした。

(注2)システムの稼働やインフラの構築に必要となるサーバーやネットワーク機器、あるいはソフトウェアなどを自社で保有し運用するシステムの利用形態

オンプレミスのメリットとしては、カスタマイズ性が高く、自社の運用に合わせてシステムを構築できるといったことがあります。

デメリットとしては金銭的・人的コストが大きいことや、改修の柔軟性が低いといったことが挙げられます。

特にカスタマイズをすればするほど導入時の初期費用は高くなります。

最近はSaaS型の保険代理店システムも登場しています。

いわゆるサブスクリプションモデルのサービスですが、利用料は定額払いで初期投資がオンプレミスの場合と比べて低廉であることや、アップデート費用が利用料に含まれており、継続的にアップデートされるというメリットがあります。

ちなみにアップデートについてはSaaSベンダーが様々な保険代理店と協議し、必要な改修をしていきます。

そのためSaaSシステムの仕様に自社の運用を合わせに行かなければならないというデメリットもあります。

一方で上記の通りSaaSシステムはSaaSベンダーが様々な保険代理店と協議し、ベストプラクティスと判断した形に収斂していくため、企業代理店からすれば自社運用をSaaSシステムの仕様に合わせていくことは、結果として必要でない業務をそぎ落とすことになり、業務効率化につながるという側面もあります。

次回は代理店システムについて、リプレイスをするきっかけやその際の検討課題について解説していきたいと思います。

↓次回Vol.2はこちら
代理店システムリプレイスのきっかけ【保険代理店システムリプレイスへの道(Vol.2)】 | 企業代理店port (kigyodairiten-port.com)



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