保険の企業代理店とは?【機関代理店/インハウス代理店/企業内代理店】

企業代理店

1.はじめに

保険代理店はその顧客マーケットや販路によりいろいろな種類に分けられることがあります。

その中でも「企業代理店」については世間一般にあまり認知されていないのではないでしょうか。
ネットで検索してみても説明が少なく情報が多いとは言えません。

本メディアでは主に「企業代理店」について、保険業界やその他の業界の皆様と一緒にどのような未来を築いていけるかを考察するための情報発信をしていきたいと思います。

第1回の記事として、今回は企業代理店の概要をお伝えします。

余談ですが「企業代理店」という呼称についてはそれ以外にも「企業内代理店」「機関代理店」「インハウス代理店」などと呼ぶことがあります。

区別して使用する方もいるかもしれませんが、基本は同じような意味で使われていることが多いと考えて差し支えないかと思います。

本メディアでは「企業代理店」という言葉を使用していきます。

2.概要

企業代理店とは、ある企業やそのグループ、またその役職員の保険契約をメインに募集するような保険代理店です。

基本的にはある会社の子会社であったり、企業グループのシェアードサービスを提供している会社の一部門となっていることが多く、後述しますが、生保や損保(マリン/ノンマリン)、法人や個人の保険を取り扱います。

なお、保険業法等によって自己契約や特定契約の収入保険料に占める割合に制限があるため、例えば親会社の保険だけを募集していればよいということにはなりません。

3.扱う保険種目

顧客となる親会社やグループ会社の事業によって扱う保険種目やその割合は多岐にわたります。

以下はその一部です。

 法人:生保
    損保(ノンマリン)自動車、火災、新種、傷害 
    損保(マリン)貨物、船舶
 個人:生保、自動車、火災、新種、傷害

また企業代理店がこれら全てを扱うこともあれば、例えばノンマリン部分のみ扱い、マリンは親会社が直扱いとするか、社外の代理店に任せるというケースも少なくありません。

これは企業グループによっても大きく異なります。

その他にも種目ではないですが、契約形態として団体契約や団体扱契約も取り扱います。

4.企業代理店のメリット

企業代理店を持つことにはどういったメリットがあるのでしょうか。

メリットとしては、ある企業やそのグループ企業の保険を一手に引き受けることで、事業のリスクマネジメントに対するノウハウを蓄積できるということが1つ挙げられます。

顧客目線では「グループ会社だからこそ変な提案はされない」という安心感が、企業代理店目線では「グループ会社だからこそ信頼される提案しなければ」という使命感が醸成されやすいのではないでしょうか。

また大企業ともなるとその広範な事業規模から多くのリスクに晒されており、手配する保険種目も増え、保険単価も高くなることから、ますます保険料も大きくなっていきます。

企業代理店を子会社として持つことで契約による手数料がグループ子会社の収益になる、つまりグループ全体のトータルコストの低減につながるわけです。

5.企業代理店の強み、弱み(課題)   

企業代理店が強みとしている部分は各社によって異なります。

例えば、法人の生保に強かったり、特定の新種保険に強かったり。

一方で弱みとしているものも多岐にわたります。

構成員契約規制によって第一分野商品の販売が少なくその提案や人的リソースに課題感があったり、団体契約/団体扱契約の事務負担やマーケティング部分に苦戦していたり。

強み・弱みは幅広いものがありますが、どちらかというと弱み(課題)に関しては共通項が多いのではないでしょうか。

そこで共通の課題に対して代理店間で議論することでベストプラクティスを模索していくことが必要ではないかと考えます。

6.今後の展望

今後の代理店を取り巻く環境について、以下のようなリスクが想定できます。

・代理店手数料率が減っていく

・生産労働人口の減少に伴い従業員が確保できなくなる

・デジタル化/自動化の遅れにより世の中に必要とされなくなる

企業代理店でも今後は既存顧客の契約の深耕に加えて、ニューリスクへ備え、それに即座にキャッチアップすることが求められてきます。

併せてコストダウンのために事務や営業の効率化や業務を抜本的に見直すようなDXも促進することが必要です。

企業代理店1社だけのリソースには限りがあります。
自社だけでなく保険会社や他の保険代理店、InsurTech企業、スタートアップ企業、その他金融業界とも関わりながら、これまでのどちらかと言うとインナーへ向きがちな視点を外部に向け、事業ケイパビリティを高めることが変化の激しい時代に必要とされるのではないでしょうか。

もちろん言うは易しで、各社で置かれている状況も異なりますし時間もかかるでしょう。またそれを熱意ある個人が推し進めるだけとなるとその人がいなくなると失速してしまうこともあります。そのため熱意ある個人に加えて、それを推し進めるためのゆるやかな繋がり・組織も必要になると考えられます。

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