保険代理店による保険代理店のための共創を支援する、EMSA

保険代理店

EMSAの取り組み

  中島:MIHとしては紺野さんの企業代理店portの他にも、「EMSA」の活動を打ち出していますよね。元々は温水さんのコメントにもあった「企業代理店2.0」の構想からの出発だと思いますが、その変遷と現状について中野さんから簡単にご説明いただいてもよいですか?

中野2023年7月に共創デザイン部を設置した際に課題の棚卸しを行い、「人材育成とデジタル化推進」が主要な課題であると認識しました。この時はまだ概念先行の状況で、具体的なものは何もありませんでしたが、これまでとは違う代理店を目指していくという理念を発信していくためにまず企業代理店2.0というワードを掲げました。

その後、多くの代理店様やサービス提供会社様と会話を重ねていきましたが、やりたいことを整理していく中で、コストの削減と業務品質向上という一見トレードオフの関係にある課題にも挑戦したいと考えるようになりました。この時もまだ概念が先行していましたが、自社や業界の課題を解決していくためには共通のインフラを整備する必要があり、そのための受け皿として「代理店経営支援プラットフォーム」を立ち上げることにしました。

さらに検討を進める中で、やはり具体的な形があるものを作らないと課題は解決していかないという思いが強くなり、できるパーツから実装していくことにしました。まずは元々違う目的で開催していた勉強会を交流会という形に衣替えし、メインコンテンツに据えました。
また幸いなことに、出資先のHokanグループ社の他、共創デザイン総合研究所社、未来創造社、SowZow社といった協力者が徐々に集まってきていましたので、いくつかの具体的なコンテンツを用意することができるようになりました。

さらにプラットフォームという言葉は抽象的で、人によってとらえるイメージが異なり、ともするとやや胡散臭い印象さえ与えかねないため、実現したいことをストレートに表現した「代理店経営基盤強化交流会(EMSA/エムサ=Exchange meeting to strengthen Agent (management infrastructure))」という名前に変更したところです。

中野


  中島:この数ヶ月での充実度がすごいですね。代理店の皆様からの期待も大きいと聞いています。
素晴らしいコンテンツパートナーの皆様のお話もありましたが、MIH独自の、MIH主体での価値提供も考えていらっしゃると聞いており、そのあたり話せる範囲で教えていただくことはできますか?

中野MIHとしての独自コンテンツについても検討を進めています。ひとつには、MIHの事業開発部が開発したエンゲージメントサーベイや安全文化診断といったコンテンツの提供です。

また共創デザイン部としては、内部管理体制の構築に関して共通化できないかという問題認識を持っていましたが、内部管理体制構築や内部監査のプロである池田さんとたまたま会話する機会があった時に「エージェントガバナンス構築サービス」の着想に至り、現在共同でサービスの開発を進めています。

中島内部管理体制は直近かなり注目度が高いテーマでもありますね。


  中島:お名前が挙がりました内部監査の専門家の池田さんにもお聞きしたいのですが、池田さんから見て、この代理店を取り巻く内部監査関連の問題は、どのようなことが起こっていて、どのようなものが必要だと思われますか?

池田中野さんとは同じ損害保険会社の同じ経営企画部門で知り合いましたが、その頃は損保の合従連衡の時期で、おりしも米国での911テロにより、合流予定の一社が破綻というあまりない経験を共にした仲間でした。
その後、岡山支店を経て、業務停止命令による内部監査部門の強化という命題のもと企画部門に7年、そこから海外子会社の内部統制構築のために海外に約11年おりました。中野さんとは直接の交流はなかったのですが、SNSで友達としてつながっていたためMIHでHokanグループ社との提携等、充実したお仕事をしていることは存じていました。

2023年に外資系コンサルティングファームに転職した際、ほぼ時を同じくして昔在籍した際にお世話になった岡山の保険代理店さんから内部監査実施について支援要請があり、営業担当者がこれを差配することの難しさや、損保の度重なる不祥事も発生したため、ガバナンスや内部管理について抜本的な改革の必要性を感じていました。その段階で保険代理店向けのガバナンスや内部監査のコンサルティングニーズがあるのではと考え、旧知の中野さんがいるMIHにご連絡したことがきっかけとなりました。

MIHさんはこの分野でも非常に感度が高く、当方の考えにも興味を持っていただいたこともあり、”エージェントガバナンス”というある意味荒唐無稽なコンセプトや代理店の内部監査の重要性について共創できるのではないか、という仮説の下ここまで進めてこられました。

現在は、金融審議会や損保協会による損保業界の信頼回復に向けた取り組み、保険会社・保険代理店の意識の高まりもあり、「代理店の業務品質向上には内部監査が有用であり、それを推進することは意義のあることだ」という共通認識が醸成されてきたと思います。

池田氏


池田一方、内部監査自体は世界共通のメソッドが存在し、テクニカルな部分もあるため、これをわかりやすくシンプルなものにするということが推進においては重要ということで、内部監査の機能の理解と実施できる体制を目指せるコンテンツの準備(通称:虎の巻)を進めていっているところです。

中島代理店内部監査虎の巻!気になります(笑)


  中島:同じく外部パートナーでいらっしゃる篠原先生にもお聞きしたいのですが、篠原先生もこのEMSAの取り組みに賛同/応援いただいていると聞いており、その理由や期待するところなど、コメントいただいてもよろしいでしょうか?

篠原:保険代理店については、2014年の保険業法改正で、保険募集人の体制整備義務(保険業法294条の3)が課せられ、保険代理店自らに、保険募集に関する業務に関して、業務の健全かつ適切な運営を確保するための措置を講じることが求められました。
この体制整備義務は、保険代理店の規模や業務の特性に応じた体制整備を求めるもので、大規模乗合代理店においては、意向把握や比較推奨を含め、自らが実効性のある適切な保険募集管理体制の構築義務が課された訳です。

しかし、現状を見ると、そのような体制整備に真摯に取り組んだ代理店もあれば、残念ながらそうとは言えない代理店もあり、今般の保険金不正請求や不適切募集などの問題も発生することとなり、先日(5月30日)に成立した改正保険業法による規制強化につながったと思っています。

このような状況について、私は必ずしも代理店だけの問題ではなく、保険会社も含めた保険業界全体の問題であると思っていた一方、果たして個々の代理店に全てを個別に検討させるだけで良いのかという疑問もありました。

もちろん、代理店の体制整備は、代理店自身が自らの規模や業務特性やリスクを的確に把握して、自らにフィットする有効性・実効性のある体制を整備することが必要不可欠です。
ただ、体制整備のフレーム(池田さんが挙げられている内部監査も含む三線管理(Three Lines of Defence/ Three Lines Model)も含む)や利用可能なシステムなど、代理店で共有・共通化できる知識・ノウハウ・ツール等は、非競争領域に属するものとして共有できれば、より効率的に体制整備が可能となると思います。また、それにより削減できたコスト等は、より顧客本位のための創意工夫に利用できることになり、保険業界に”Win-Win-Win”の関係を築いていくことになると思います。

写真右:篠原氏


篠原:このようなことを感じていたところ、EMSAの構想に出会い、法令面の体制整備に限らず、業務品質向上や業務効率化、デジタル化など、保険代理店単独では解決が難しい課題を、保険会社や保険代理店、さまざまなサービス事業者と協業して解決するコミュニティ型の代理店共創フレームワークが作られようとしていることを知りました。

このような取組みは、保険会社と保険代理店の関係が(出向者の引き上げ、代理店手数料ポイントの見直しその他で)変わり得る中で、保険代理店が自立し、成長し、顧客本位を実現するうえで大変魅力的なものであると思いますし、広く活用されることを期待しております。

中島ありがとうございます。大変心強い限りです。

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